第1章 ~変わらない日常~
「全く・・・部屋に猫を連れ込んで、何をしてんだか。」
小十郎は、自室に向かいながら溜め息を付いた。
打が、そんな政宗の楽しそうな姿を思い出しては、小十郎の頬は緩んだ。
(猫と戯れる政宗様、本当に御可愛らしい・・・思い出すだけで、顔がにやけちまうぜ・・・)
打が、其以上に感情が高ぶるのは、政宗に抱いて締まった『恋愛感情』がそうさせていた。
然し、政宗と小十郎は、主従関係と言う隔たりに挟まれている為、気持ちを伝えるのは困難に等しい。
例え伝えたと仕手も、必ずしも付き合える訳では無い。
其に、政宗は同性であり、異性では無い。
周りから批判を受けるのは、目に見えて居た。
(・・・俺の一方的な感情で、政宗様の将来を無下にしたくねぇ・・・)
然し、政宗を他の奴に渡すつもりは、断じて無い。
今は、只傍に居れれば良い。
もし離れるものならば、自分無しじゃ生きられ無い様に操れば良い。
そうすれば、政宗は小十郎から離れなくなると思った。
自分の中にある、黒々とした感情が壊れる前に、政宗に知れる前に・・・