第8章 ~小十郎vs幸村~
数日後、政宗の居場所を探して居た佐助が、幸村の前に平服した。
其を見た幸村は素振りを止め、佐助に向き直った。
「・・・佐助、政宗殿の居場所が分かったのか?!」
「・・・あぁ。打が、場所が場所立ったから、探すのに手間取ってさ・・・」
「構わぬ。して、政宗殿の居場所は何処で御座るか?!」
「ハイハイっと。案内するから着いて来て、真田の旦那。」
そして幸村は佐助と供に、政宗を奪還すべく馬を走らせたー
武田領ら駆け離れた山奥の県境。
其の一角にある山小屋に、政宗は小十郎と供に居た。
人目を避けた場所に在ったために、佐助ら忍隊は、探し出すのに手間を喰ったと云う。
「・・・政宗殿・・・待って居るで御座る。某が必ず・・・」
幸村は、一心不乱に馬を走らせた。
政宗に逢いたい、其の一心でー
其の頃山小屋では、小十郎が何かに感付いて居た。
『・・・・・・誰だ、俺と政宗の仲を切り裂くのは・・・』
打が、今は動かない。
其の時が来るまで、今は、動かない。