第3章 ~制御不能の感情~
幸村を見送った政宗は、小十郎の畑にやって来た。
其所で小十郎は、何時もと変わらぬ様子で、畑仕事をして居た。
其を見た政宗は、内心ホッとした。
そして、平常心を装って話し掛けた。
「・・・A ~ ・・・小十郎、調子はどうだ?」
「・・・・・・」
「あのさ・・・さっき、真田の奴が来てさ、団子貰ったんだ。」
「・・・・・・・・・」
「・・・?小十郎、気いてんのか?」
「・・・っ!触るな・・・っ!!」
「・・・っ?!」
打が、幾ら話し掛けても、小十郎から返事は無かった。
不意に思った政宗は、小十郎の袖を掴もうと手を伸ばした。
然し、掴もうとした瞬間、物凄い勢いで腕を払われた。
「・・・!・・・申し訳ありません、政宗様・・・少し、考え事をして居たもので・・・」
「・・・否、良いんだ・・・」
打が、直ぐに正気に戻った小十郎は、直ぐ様謝辞した。
其を聞いた政宗は、払われた手を掴みながら答えた。
そして二人の間には、緊張感漂う静寂に包まれた。
然し、其の静寂に耐えかねた政宗が、口を開いた。