第16章 雄英文化祭編
爆豪視点:
正直、顔も体も、ど真ん中だった。
初めて彼女を見た時から、綺麗な女だとは思っていた。前髪のない艶やかな髪に、涼しげな目元。大人びた顔立ちと、女らしい身体のライン。男の視線を集めることに慣れているくせに、媚びるような素振りは一切ない。
それだけなら、ただの好みの女で終わっていたかもしれない。
だが、彼女は違った。
頭が切れる。状況を読むのが異様に早い。相手の表情や言葉の端々から、隠していることまで見抜こうとする。どこまでが本音で、どこからが演技なのか、簡単には見せない女。
そのくせ、時折見せる気の抜けた表情や、思いがけず子供のようにはしゃぐ姿は、普段の隙のなさからは想像できないほど無防備だった。
知れば知るほど、目が離せなくなった。
そして、彼女の秘密を偶然聞いてしまったあの日。
二十一歳。本当は雄英の生徒ではなく、公安の人間。誰にも明かせない任務を抱え、何食わぬ顔でクラスに溶け込んでいた女。
その事実を知った時には、もうとっくに惹かれていた。
だからこそ、腹が立ったのだ。
自分たちと同じ教室で笑っているくせに、いつでも一人でどこかへ消えてしまいそうなことが。何でも一人で抱え込み、誰にも頼ろうとしないことが。あれほど近くにいたのに、自分たちには本当の姿を見せていなかったことが。
もちろん、彼女にも事情があるのは分かっている。簡単に話せないことがあるのも、秘密を守らなければならない立場なのも理解しているつもりだ。
それでも。
誰にも渡したくねぇ。
自分のことだけを考えてほしい。
他の誰にも見せない顔を、自分には見せてほしい。
自分がいないところで、勝手に傷ついて、勝手に苦しんで、勝手に全部を終わらせようとするな。
そんなことを考えてしまう時点で、もう相当重症だった。
彼女の秘密を共有したことで、自分の中の何かが明らかに変わった。
それまでは、ただ気になる女だった。何を考えているのか知りたい。どんな顔をするのか見てみたい。自分にだけ見せる一面があれば面白い。
そんな感情だったはずなのに。
今は違う。