第16章 雄英文化祭編
不思議な子どもたちだ。
爆豪によく似た三人の男の子と、自分によく似た赤ん坊。
偶然なのか、何か事情があるのか。
今はまだ分からない。
ただ、一つだけ確かなことがある。
この子たちは、母親に会いたがっている。
ならば、自分がするべきことは決まっていた。
校舎の入口をくぐりながら、おもちは子どもたちを振り返った。
「大丈夫。みんなで一緒に、お母さんを探しましょうね」
その言葉に、五歳ほどの男の子は、赤ん坊を抱えたまま小さく頷いた。
そして、誰にも聞こえないほどの声で、ぽつりと呟く。
「……やっぱり、ママだ」
その声は、廊下の喧騒に紛れて消えた。
おもちが振り返ったときには、男の子は何事もなかったかのように前を向いていた。
***
校舎に入り、迷子預かりのブースを目指して廊下を歩いていた、そのときだった。
「……ふぇっ、ふぇぇ……」
小さな泣き声が聞こえた。
おもちが振り返ると、五歳ほどの男の子に抱かれていた赤ん坊が、顔をくしゃりと歪めている。
「えっ、どうした!?」
兄らしき男の子が慌てて足を止めた。
「どこか痛いの?お腹すいた?眠い?」
小さな手で赤ん坊の背中をぽんぽんと叩き、なんとか泣き止ませようとする。しかし、赤ん坊はますます顔を赤くし、声を上げて泣き始めてしまった。
隣にいた双子も、ただならぬ様子に不安そうな顔をする。
「いもうと、ないてる……」
「どうしたの……?」
「だ、大丈夫よ。ちょっと見せてね」
おもちは慌てず、赤ん坊の様子を確かめるためにそっと近づいた。
赤ん坊は小さな足をもぞもぞと動かし、涙を浮かべている。熱がある様子でもなく、顔色も悪くない。
そこで、ふと気づいた。
「あら……もしかして」
彼女は赤ん坊のおむつの辺りに目を向け、そっと確認した。
「おむつが濡れているみたいね」
「……おむつ?」
兄がきょとんとする。
「ええ。気持ち悪かったのかもしれないわね」
おもちがそう告げると、男の子ははっとしたように赤ん坊を見下ろした。