第16章 雄英文化祭編
エリの小さな手を握り、おもちはゆっくりと校舎の廊下を歩いていた。
「エリちゃん、歩くの疲れてない?大丈夫?」
隣を歩く少女の顔を覗き込み、優しく尋ねる。
「うん、大丈夫!」
エリは嬉しそうに頷いた。
「そっか。じゃあ、無理せずゆっくり行こうね。疲れたら、いつでも言っていいからね?」
「……うん!」
繋いだ手を揺らしながら、エリは何度も彼女を見上げていた。
そのたびにおもちが微笑み返してくれるのが、たまらなく嬉しかった。
死穢八斎會で出会った頃、エリは誰かに甘えることも、自分の気持ちを口にすることも、まだ十分にはできなかった。
そんな少女が今、自分から手を握り、一緒にいたいと伝えてくれる。
その変化が、何よりも嬉しい。
「……ふふ」
「?おねえちゃん、どうしたの?」
「ううん。エリちゃんが元気そうでよかったなって思ったの」
「……うん」
照れくさそうにするエリの頭を、おもちはそっと撫でた。
「それじゃあ、次は三年生の校舎も見てみようか?」
「うん!」
ふたりは手を繋いだまま、廊下の先へと歩いていった。