第16章 雄英文化祭編
爆豪の全身から繰り出されるリズムが、演奏をぐいぐいと引っ張っていく。
「っ、すごい……!」
おもちは思わず目を輝かせた。
その瞬間、爆豪と目が合った。
彼女は、心から楽しそうに笑っていた。
演奏が楽しい。
みんなと一緒に音を合わせることが嬉しい。
そんな気持ちが、その表情から伝わってくる。
爆豪は胸の奥が熱くなるのを感じた。
――ああ、クソ。
やっぱり、こいつのことが好きだ。
そう自覚するたびに、どうしようもなく落ち着かなくなる。
ドラムソロが終わる。
耳郎が音を繋ぎ、おもちが一歩前に出た。
「――♪」
彼女の歌声が、練習スペースに響き渡る。
まだ緊張が残っているのか、最初の一音には少し硬さがあった。
その歌声に、演奏していた上鳴が思わず顔を上げた。
「……やっぱ、すげぇな」
常闇も、無言のままリズムを刻んでいた。
耳郎はベースを弾きながら、嬉しそうに笑った。
自分が好きな音楽を、こうして誰かと一緒に奏でられる。
その喜びが、演奏全体を明るくしていた。
曲が終わると、全員が自然と顔を見合わせた。
「……いいじゃん!」
耳郎が真っ先に声を上げた。
「今の、かなりよかった!間奏からの繋がりも、前よりずっと自然だった!」
「本当?私、歌い出しが少し遅れてしまった気がしたのだけれど……」
おもちが首を傾げる。
「そこは次に調整すればいいよ!でも、歌声はやっぱり最高!」
耳郎は満面の笑みを浮かべた。
「ただ、おもちはもう少し力を抜いて歌ってもいいかも。今、ちょっと緊張してるでしょ?」
「……わかる?」
「わかるよ。音程は安定してるけど、息の入り方が少し硬いから」
耳郎はベースを置き、彼女の隣に立った。
「ねえ、少し発声練習しない?せっかくのソロだし、もっと気持ちよく歌えるようにしたいんだ」
「発声練習……?」
「うん!腹式呼吸から、声を出すときの息の使い方まで。一緒にやろうよ!」
おもちは少し考えてから、微笑んだ。
「……ぜひ、お願いするわ」
「よし!じゃあ、まずは肩の力を抜いて!」
耳郎が実演しながら説明を始める。