第5章 小糠雨
——それから何事もなく授業は進み、お昼の時間になった。
合間の時間で、私たちはだいぶ打ち解けることができた気がする。
初めての同年代との会話に、最初は戸惑ったりもした。
けれど、みんなが優しく話題を振ってくれたおかげで、楽しくおしゃべりすることができた。
私の事情が気になるはずなのに、みんなは深く追及してこない。
どこの馬の骨かもわからない、得体の知れない私にも、真っ直ぐに笑顔を向けてくれる彼ら。
そんな優しい人達に、 “一般人” だなんて嘘をついて隠し事をしていることが、本当に申し訳なかった。罪悪感が、ずっと私の心を占めている。
「雫、お昼食べるぞ」
机を並べながら、真希さんが声を掛けてくれた。
『はい!』
「だから、敬語はやめろっつったろ」
『あ……ごめんなさい。じゃなくて、ごめん! もう癖になっちゃってて……』
「まぁまぁ、真希さん。いきなりは厳しいよ」
「憂太の言う通りだ。ゆっくり慣れてけばいいだろ」
「しゃけ」
少し不満げにそう言う真希さん。
そんな真希さんを憂太さんが少し困ったように笑いながら嗜め、パンダさんが大らかにそう言ってくれる。隣では、棘さんが励ますように私の頭を優しく撫でてくれた。
みんなと囲む、初めてのお昼ご飯。
笑顔が行き交うこの空間の温かさと、みんなの優しさが私の胸を優しく締め付ける。