第12章 液雨
——そして、翌日。
秘密をすべて打ち明けたことで、私と高専のみんなの絆は、昨日までとは比べものにならないくらい、もっともっと深く、温かいものになっていた。
私が憂太くんのことを君付けで呼んでいたことを知り、みんなも、さん付けじゃない呼び方で、呼んで欲しいと言ってくれたので、真希さんは、真希ちゃん、パンダさんと棘さんは、君付けで呼ばせてもらうことになった。
堅苦しいからと、敬語もやめた。
百合以外にタメ口を使うのは初めてだったからか、心がほわほわと、するような不思議な感じがした。
私が、話すたびにみんながニコニコしながら聞いてくれるのがなんだかくすぐったくて、嬉しかった。
——みんなとたくさんお話をしたい。だけど、顕現の時期をずらしているせいで、どうしても身体のだるさと息苦しさが抜けず、私は、最初の顕現までは、一日中、医務室のベッドで絶対安静として過ごすことになってしまった。
「ほら、窓、少し開けとくよ。……タバコと消毒の匂いは嫌でしょ? こまめに換気をするから、のんびり寝てな」
白衣を着た硝子さんが、灰皿を遠くに片付けながら、気だるげに、だけどとても優しい手つきで窓を大きく開けて外の新鮮な空気を部屋に入れてくれた。
『硝子さん……お気遣い、ありがとうございます』
「いいってことさ。私の患者を、これ以上苦しめさせるわけにいかないからね」
硝子さんがフッと優しく笑って私の頭を撫でてくれる。
静かな医務室。けれど、その静寂は、すぐに賑やかな足音によってかき消されることになった。
医務室の外から、バタバタバタっ!! と、足音が響いて、医務室のドアが勢いよく開く。
「雫ー! 入るぞ! 休み時間になったから様子見に来た」
「しゃけ、明太子!」
「雫ちゃん、体調はどう……? 辛くない?」
授業の休み時間になる度に、真希ちゃんや憂太くん、パンダくん、棘くんのみんなが、毎時間、欠かさず私のベッドの元へと駆けつけてくれる。それが、少し申し訳なかったけれど、とても嬉しかった。
「ほら、お菓子買ってきてやったぞ。食えるか?」
「おかか、ツナ!」
「無理しちゃダメだよ。僕、何か欲しいものがあったら何でも取ってくるからね」
みんなが私のベッドを囲んで、他愛のない話をしてくれたり、私の体調を気遣ってワイワイと笑わせてくれる。