第17章 腕枕
「……こうか?」
「うん」
いつもと逆。
それだけなのに、妙に緊張する。
脹相の頭が腕に乗っている。
すぐ近くに顔がある。
いつもなら自分が見上げている顔を、今日は自分が見下ろしている。
「……なんだか変な感じ」
「俺もだ」
脹相がこちらを見上げる。
その距離の近さに、思わず息が止まりそうになる。
「……近いね」
「そうだな」
「顔、こんなに近かったっけ?」
「いつもはお前が俺の腕の中にいるからな」
「そうだね」
「だから……」
脹相が少しだけ視線を逸らす。
「こうしていると、いつもよりお前の顔がよく見える」
「……そんなに見なくていいよ」
「なぜ?」
「恥ずかしいから」
そう答えると、脹相は少し驚いたように瞬きをした。
それから、ふっと表情を緩める。
「……そうか」
「何?」
「お前も恥ずかしいんだな」
「脹相だってさっきから落ち着かないじゃん」
「……それは」
脹相が言葉を止める。
「俺も、少し緊張している」
「……え?」
「お前の腕に頭を預けるのが、思っていたより……」
そこで言葉を濁す。
「思っていたより?」
「……嬉しい」
胸が、どくんと鳴った気がした。
「……そっか」
「それに」
脹相がこちらを見つめる。
「お前にこうしてもらっていると、いつもより甘えているような気がする」
「ふふ。実際、甘えてるんじゃない?」
「……そうかもしれない」
いつもなら絶対に見せないような、少し照れた表情。
それが可愛くて、思わず髪に触れ。指先でそっと髪を撫でる。
すると、脹相の目がゆっくり細くなった。