第72章 年末年始〜大晦日
「……早」
五条が小さく呟く。
脹相は隣で眠っている彼女を見つめる。
「……」
そして、ほんの少しだけ笑った。
「よほど疲れていたんだろう」
「そうだね」
五条もを見る。
しばらく黙っていたが。
「ねえ、脹相」
「なんだ」
「この子のこと、頼んだよ」
「……」
いつもの軽い声ではなかった。
「昔はさ」
五条が天井を見上げる。
「こんなに感情を表に出す子じゃなかったんだ」
「……」
「笑ったり、怒ったり。誰かに甘えたり」
五条が少しだけ笑う。
「今はずいぶん変わった」
脹相は眠っている彼女を見る。
無防備な寝顔に穏やかな呼吸。
そして、少しだけ口元を緩めた。
「……そうか」
「うん」
脹相は小さく息を吐いた。
「なら、よかった」
そして
「これからも大切にする」
五条は何も言わなかった。
ただ、少しだけ笑った。
「……そっか」
部屋が静かになり、やがて脹相も目を閉じた。
その夜、三人は同じ部屋で眠った。