第72章 年末年始〜大晦日
そして
「年越しそば、できたよ」
「待ってました!」
五条さんが嬉しそうに声を上げる。
「これを食べないと年を越せないよねぇ」
「大げさ」
「大事だよ」
脹相も静かに箸を持つ。
「いただきます」
「いただきます」
年越しそばを食べ終える頃には、時計の針は日付が変わる少し前を指していた。
「そろそろ寝るか」
脹相が立ち上がる。
「そうだね」
私は布団を用意する。
脹相が先に一枚引くと、私はその隣に、もう一枚並べる。
ぴたり。と今日も迷うことなく、脹相の布団にくっつけた。
「……」
脹相がこちらを見る。
「昨日と同じだな」
「うん」
私は何でもない顔で頷く。
「だって、こっちのほうがいいもん」
その時だった。
ダダダダダッ――!
「!?」
廊下を誰かがものすごい勢いで走ってくる。
そして。
ガラッ!!
「変なことしてない!?」
「きゃっ!」
私は飛び上がった。
「もう! びっくりするからやめて!」
「え、だって気になったんだもん」
五条さんがなぜか嬉しそうに部屋へ入ってくる。
「……」
脹相は呆れたように五条を見る。
五条は部屋の中を見渡して――。
「おや」
「……?」
「おやおや?」
視線が布団に向く。
「……」
そして。
「布団、くっついてるね?」
「……」
「昨日もそうだった?」
「……!」
一瞬、空気が止まる。
私は慌てて答えた。