第46章 小脇に抱えて
そして。
――ああ。なるほど。と思い至る。
脹相には彼女フィルターでも付いてるんだろう。
自分に向かって走ってきた女が、
その途中で転びかけ、それを男が防ぎ、腕を回すと
二人の身体が近づいた。
それだけしか見えていない。
つまり。
「転びそうな彼女を乙骨が抱き止めた」
になっているんだろう。
恵は乙骨を見る。
乙骨はまだ彼女を小脇に抱えている。
次に脹相を見る。
「……」
脹相の目が、乙骨に向けられている。
恵は思う。
――違う。
――そうじゃねぇ。
――あいつは抱き止められたんじゃなくて、抱えられてる。
しかし。
説明するのも面倒だった。
というか。
「……もう、なんでもいいわ」