第31章 欲求不満なのか
「脹相」
「何だ?」
「ちょっとお昼寝したら?」
「…………」
「最近ずっと眠そうだよ」
彼女が心配そうに顔を覗き込む。
「ちゃんと寝た方がいいって」
「だが……」
「ほら」
彼女がベッドに腰掛ける。
「膝、貸してあげる」
「…………」
脹相が止まる。
「……膝?」
「うん。膝枕」
「…………」
まただ。
最近の彼女は、どうしてこうも無防備なのだろう。
「嫌?」
「……いや」
脹相は静かに横になる。
「ありがとう」
頭を彼女の膝に乗せる。
「どう?」
「……落ち着く」
「よかった」
彼女が笑う。
そのまま脹相は目を閉じる。
「…………」
だが、数秒後。
違和感に気づいた。
「…………」
視線だけを少し下げる。
彼女の服装。
ショートパンツ。
「…………」
太ももから下が、そのまま素肌だった。
そして、自分の頬が、ちょうどそこに触れている。
「…………」
脹相の目が少し開く。
「どうしたの?」
「……何でもない」
「寝ていいよ」
「…………」
そう言われても、意識するなという方が無理だった。
頬に伝わる柔らかな感触、近くから聞こえる彼女の呼吸。
時折、髪を撫でる手。
――落ち着け。
これはただの膝枕だであり、彼女は何も考えていない。
自分が勝手に意識しているだけだ。
「脹相?」
「……何だ」
「眠れそう?」
「……ああ」
「よかった」
頭を優しく撫でられる。
「おやすみ」
「……ありがとう」
目を閉じる。
最初は悶々としていた。
だが不思議なことに
その柔らかな感触と、一定の体温に包まれていると。
少しずつ身体から力が抜けていく。
「…………」
眠い。とても眠い。
「……柔らかいな」
思わず小さく呟く。
「何が?」
「…………何でもない」
彼女は笑う。
「じゃあ、ゆっくり寝てね」
「ああ……」
そして。
本当に眠ってしまった。