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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第1章 付き合ったんだよね?


朝、目を覚ますと、隣にはもう脹相はいなかった。

「……あれ?」

まだ少しぼんやりする頭で、ゆっくり身体を起こす。

昨日は確か、脹相と付き合うことになった。

起きて夢だったら嫌だからと言って、隣で手を繋いで寝てもらったはずだった。

カーテンの隙間から差し込む朝の光。
いつもと変わらない、見慣れた部屋。

けれど、昨日のことを思い出した瞬間、胸がどくんと鳴った。

――昨日、脹相と付き合い始めた。

ちゃんと好きだと言ってもらえて私も好きだと伝えた。
それから少し照れながら、一緒に過ごして、
……でも、繋いでいたはずの手は、いつの間にか解かれている。

「……夢、じゃないよね」

昨日の出来事があまりにも嬉しくて、逆に現実だったのか不安になる。

そんなことを考えていると、部屋の扉から物音がした。

「起きたか」

振り向くと、脹相がいた。

いつものように黒いTシャツを着て、こちらを見ている。

「……うん」

脹相は何でもないような顔で近づいてくる。

その姿を見ていると、また胸がきゅっとした。

もし夢だったら、
もし昨日のことを、私だけが覚えていたら
そう思ったら、急に不安になってしまって
私はそっと手を伸ばして、脹相のTシャツの裾を指先でつまんだ。

「……脹相」

「なんだ?」

「……昨日のことなんだけど」

「昨日?」

脹相が少し首を傾げ、
私はTシャツを、くいっと引っ張った。

「……私たちって」

言葉が続かない。

恥ずかしくなって俯く。

けれど、聞かないと落ち着かない。

「…その…付き合ったんだよね?」

一瞬、静かになった。

脹相は私の顔を見つめている。

そして――

「……ああ」

低く、優しい声が返ってきた。

「付き合った」

「……ほんと?」

「本当だ」

「夢じゃない?」

「夢ではない」

即答だった。

それでもまだ不安で、私はTシャツを掴んだまま離さない。
すると脹相が少しだけ困ったように眉を下げた。
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