好きだと気づくには、遅すぎた 【ヒロアカ 轟vs爆豪】
第4章 揺れるこころ
雄英高校の教室。
昼休みの騒がしい空気の中、(名前)は自席でぼんやりと窓の外を眺めていた。
どこか上の空で、時折口元に手を当てては顔を赤らめている。
その妖艶な雰囲気に真っ先に勘づいたのは、クラス一の淫乱男・峰田実だった。
「おかしい……絶対おかしいぞ……! (名前)ちゃんのあの醸し出す『女』の空気……ッ! まさか、轟の奴とついにそこまで行っちまったのか……!?」
峰田は居ても立ってもいられなくなり、教室の隅で不機嫌そうにスマホを弄っていた爆豪のもとへ怒涛の勢いで詰め寄った。
「おい爆豪ッ! お前なんか知ってんだろ!? 最近(名前)ちゃんの雰囲気が妙に艶っぽいっていうか、絶対なんかあった顔してんだよッ! 轟とどこまで進んだのか吐けよッ!」
詰め寄られた爆豪は鬱陶しそうに眉間へ深くシワを寄せると、上から冷酷な眼差しで峰田を見下ろした。
「……あぁん? 何言ってんだテメェ。そんな事俺が知るかよ」
「嘘つけッ! お前この前、(名前)ちゃんのこと追い詰めに行ってただろ! 俺は見逃さねぇぞッ!」
「チッ……うるせぇな。テメェには関係ねぇだろ、消えろ」
冷たくあしらおうとする爆豪だったが、ふと思い出したように峰田の胸倉を掴むと、素早い手つきで彼のポケットからスマホをひったくった。
「あっ、おいッ!? 何すんだよ爆豪ッ! 俺の宝物に触るな——」
爆豪は画面を素早く操作すると、峰田が大切に保存していた『(名前)のご奉仕動画ファイル集♡』を躊躇なくすべてゴミ箱へ叩き込み、完全に消去した。
「あ、あぁぁぁぁぁぁッ!?!? 俺の……俺の大事なオカズがぁぁぁッ!!」
画面に表示された「削除完了」の文字を見て、峰田は目から血涙を流さんばかりの叫び声を上げた。
「何すんだよ爆豪のバカヤローッ! 俺がどれだけあの動画に世話になって夜を越してきたと思ってんだッ! 返せ! 俺のオカズを返せぇぇッ!」
必死に抗議し、スマホを取り戻そうと飛びかかる峰田。
しかし爆豪はその頭を片手でガシッと掴んで制すると、手のひらから「バチッ……」と小さな爆破音を鳴らした。