• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

①呪術廻戦〜脹相〜

第76章 余韻に浸る


「ねえ」

「なんだ?」

「今日、まだ帰りたくないって言ったの覚えてる?」

「ああ」

「本当はね」

私は少しだけ恥ずかしそうに笑った。

「もっと一緒にいたかったんじゃなくて」

「……?」

「今日が終わるのが嫌だったの」

脹相が黙る。

「恋人になったばっかりなのに、帰ってその日が終わったらもったいない気がして」

「……」

「だから、ずっと起きてたかった」

脹相はしばらく私を見る。

そして。

「……なら」

静かに口を開く。

「今日は、もう少しだけ一緒にいよう」

「いいの?」

「ああ」

「眠くない?」

「お前よりはな」

「じゃあ、話そう」

「ああ」

「いっぱい話したい」

「俺もだ」

私はベッドの上で少しだけ身体をずらす。

そして今までなら躊躇していた距離まで近づく。

肩が触れても脹相は避けない。

むしろ私が寄りかかりやすいように、少しだけ身体を傾けてくれる。

「……こうしててもいい?」

「もちろんだ」

私は脹相の肩に頭を預ける。

「……恋人って、こういう感じなのかな」

「俺には分からない」

「私も分からない」

「なら」

脹相が私の髪をそっと撫でる。

「二人で覚えていけばいい」

「……うん」

その言葉に。

ようやく実感した。

今までずっと好きだった人が。

今は、私の隣にいる。

そして。

私のことを好きだと言ってくれている。

「……脹相」

「なんだ?」

「好き」

「……ああ」

「もう一回言って」

少しだけ間があって。

「好きだ」

「……もう一回」

「好きだ」

私は笑う。

「私も」

「知っている」

「じゃあ、もう一回言う」

脹相が少しだけ笑った。

「好き」

「……ああ」

夜はまだ長い。

今夜だけは何も急がなくていい。
告白をするまでに遠回りした分。私たちはゆっくりと
ようやく手に入れたこの時間を、確かめるように過ごした。
/ 331ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp