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①呪術廻戦〜脹相〜

第66章 白無垢のモデル


カメラマンが興奮したように言う。

「すごくいいです!」

「……本当ですか?」

「はい!」

「その表情、もう一度だけお願いします」

「え?」

「今の笑顔です」

「……」

「一度こちらを見て」

カメラマンが。

指示する。

「それから、少し振り返って」

「はい」

「振り返ったところで、さっきの顔を」

「……」

私は振り返るけれどさっきと同じ表情ができない。

「……」

少し笑おうとするけど違う。

「……うぅん」

首を傾げる。

「さっきみたいにならない……」

「大丈夫です」

カメラマンが言う。

「焦らなくていいですよ」

「……」

私はもう一度やってみる。
けれどやっぱりあの瞬間の表情が出てこない。

「……どうしよう」

少し困ったように呟くと、五条が静かに立ち上がった。

「……」

脹相を見たあと、そして何も言わずあなたのところへ歩いていく。

「〇〇」

「五条さん?」

五条はあなたの少し後ろに立つ。
そして他のスタッフには聞こえないくらいの声で。
そっと耳元に顔を寄せる。

「……脹相、来てるよ」

「……え?」

私の目が大きくなる。
五条はそれだけを告げてすぐに離れていった。

「……」

私はゆっくり振り返ったけれど
脹相の姿を直接見ることはできない。

そこにいることだけを知っている。

「……」

その瞬間さっきまでの緊張が。

少しだけ解けた。
恥ずかしいけど脹相が見ている。

そう思っただけで自然と目元が柔らかくなる。

口元がほんの少し上がる。

そして誰にも見せるつもりのなかったような柔らかな笑顔が浮かんだ。
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