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①呪術廻戦〜脹相〜

第44章 身長差



「……」

脹相が目を細めた。

「まただ」

「何が?」

「その顔」

「どの顔?」

「俺を見上げている顔だ」

「……」

「やっぱり好きだな」

「……もう」

恥ずかしくなって視線を逸らす。

すると脹相が少しだけ笑った。

「なぜ逸らす?」

「恥ずかしいから」

「そうか」

「だって、ずっと見られると……」

「嫌か?」

「嫌じゃないけど……」

「なら、もう少し見ていてくれ」

「……」

そんなことを言われたら、余計に顔を上げにくい。

けれど。

少しだけ勇気を出して、もう一度脹相を見る。

高い。

やっぱり、かなり高い。

でも。

その高さから優しく見下ろされるのは、不思議と嫌じゃなかった。

むしろ。

「……」

胸の奥が、少しだけくすぐったい。

「……私も」

「ん?」

「脹相が私を見るとき、好きかも」

「……」

今度は脹相が黙る。

「どうしたの?」

「……いや」

耳が少し赤い。

「嬉しいだけだ」

そう言って、脹相は私の頭を撫でる。

「やっぱり、この身長差でよかった」

「……さっきまで気にしてた私が馬鹿みたい」

「気にしなくていい」

「うん」

私は笑う。

そして脹相の隣を歩きながら、また何気なく彼を見上げる。

その瞬間。

脹相もこちらを見下ろす。

視線が重なる。

「……」

「……」

二人とも少し照れて。

けれど、どちらからともなく笑った。

身長差は、なくならない。

たぶんこれからも、ずっとこのまま。

でも。

私が見上げるたびに、脹相が嬉しそうに見下ろしてくれるのなら。

――この距離も、悪くない。

むしろ。

脹相にとっては、ずっと大切にしたい距離なのだった。
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