【dc】Slate Bullet Apathy【prsk】
第1章 First Chapter IFFY
目が覚めたら真っ暗な部屋の中だった。窓も家具もひとつもなくあるのは扉だけだった。
そして、わたしの隣には灰原哀が眠っていた。
灰原哀。元は黒の組織の一員で、コードネームはシェリー。主人公・江戸川コナンを始めとした人物を幼児化させる薬、APTX4869を作った。ある意味彼女は、名探偵コナンという話を始めさせる元凶を作った人とも言える。実際のところ彼女も黒の組織に利用されていただけである。本当はあの薬を人間に使うなんて論外だったのだ。だから、彼女自身に罪をどうこう言うのは間違っているし、彼女のせいだとは一概には言えない。
(あの薬に巻き込まれてるのはわたしもだけど、文句は言う気にならない)
そんなことよりも、だ。
(なんでわたし、閉じ込められてるの? わたし、何かした?)
隣に灰原哀がいるもんだから黒の組織の誘拐を疑ったが、ほぼ無関係のわたしが巻き込まれている時点でそれはあり得ないだろう。
(とにかく起こさなきゃ......)
警戒心の強い灰原哀のことだ。目が覚めれば状況判断をすぐにしてくれるはずだ。
「ねえ、起きて」
優しくゆすってあげると哀は、薄く目を開いた。
「よかった。起きたんだね」
睡眠薬自体たいしたものじゃなかったのだろう。
灰原は目覚めるなり、すぐに警戒体制に入った。さすが元組織の一員だ。多分、奴ら関係の監禁を疑っているんだと思う。わたしはあえて明るく話しかけた。
「ここは......!」
「わからない。わたしたち仲良く誘拐されちゃったみたいだね」
「......そうみたいね」
「ねえ、ここから早く出ようよ」
組織関係だろうがなかろうが、こんなところは危険に違いないのだからさっさと出ていかなければいけない。わたしたちは無理やり立ち上がり、出口らしき場所を探すことにした。
「ええ......。犯人が戻ってくる前に......」
ドンっ、
扉の方から大きな音がして、怯える灰原を庇うように前に出た。背中で何か言いたげな顔をしたように見えたけど、見えなかったふりをして開いた扉を睨みつけた。
「何から早く出るって?」
「......」
「......」
見た目は社会浮浪者のようだ。小太りで、タバコを口に咥えた男はわたしたちを見るなりニヤリと笑った。