第1章 1. 始まり
「……巨人……?」
転機はその一言だった。
シアンは地下街にある娼館で生まれてしまった。それまで、シアンにとって世界とはこの地下街であり、それが全てだった。
しかし、ある日実は世界はもっと広く、「巨人」という存在を知った。
誰もが恐れ、恐怖する巨人。
彼女は、それに目を輝かせた。
「巨人……それってまさか……!!」
彼女は転生者だった。
死んだ、と思って目が覚めた時、そこは薄汚い部屋の中。
転生した、と一度は目を輝かせたものの、世界はそんな甘くはなかった。
その運命を受け入れ、慎ましい暮らしをしていたはず。
しかし、「巨人」という単語で彼女の目は再び輝く。
巨人といえば、彼女が真っ先に思いつくのは「進撃の巨人」。
「きっとそうだ、ここは「進撃の巨人」の世界なんだ!やった、やっぱり漫画の世界だったんだ!」
しかし、問題があった。
彼女は「進撃の巨人」の話を全く知らない。これでは何をしようにも、どうしようもない。
「……リヴァイ兵長しか知らない……」
進撃を見たことがなくても、きっと誰もが(多分)知っている知識程度。
これでは「異世界転生でチート無双」もクソもない。
とにかく、シアンは地上のことを学び始めた。
巨人のこと、壁のこと。そして「兵長」というくらいなのだから軍の事も。そこで、彼女は目星をつけた。
「とりあえず、調査兵団になろう!きっとそこが物語の舞台なはず!」
彼女は漫画を愛していた。アニメも愛していた。死ぬときは、絶対転生してその世界を堪能してやる、と。
そんな邪な考えで、彼女は調査兵団を志したのだった。