第15章 パラレルワールドの俺
『ところでおまえは誰だ。さっきヘルマンと呼んだが別の名前があるだろう?』
俺と裏ヘルマンの間にオスヴァルトが割り込んで裏ヘルマンに質問をした。
裏ヘルマンは真剣な顔になって言った。
『俺の名前はAdalbert(アーダルベルト)だ。敵国にはAusführungsperson(処刑者)と呼ばれている。てめぇらが死にてぇ時は俺が殺してやる。』
なるほど、パラレルワールドでは俺は アーダルベルト とよばれているのか。
さらにオスヴァルトはアーダルベルトに質問をした。
『向こうの世界はどうなっている。顔にある傷からみたら、激しい戦争があるのか?』
アーダルベルトは少し笑いながら言った。
『質問が多いな。まぁいい。激しい戦争は終わっている。今は小さな反乱を起こしている植民地の人民を殺しに行くだけだ。』
こいつは殺しが好きなのか。そうならば血の匂いがした理由もわかる。
『まぁ、これからよろしくな。俺の世界はパラレルワールドを行き来する方法を知っているからな。これから世話になるぞ』
アーダルベルトは真剣な顔をしてお辞儀をした。一応、礼儀はあるようだ。
しかし、(世話になる)と言うことはまた面倒な奴が増えると言うことだ。