第14章 パラレルワールド
俺と 人のようなもの がぶつかっている間に鏡の光が弱まっていった。
人は気を失っているようだ。目が閉じていた。
鏡の光が完全に無くなった瞬間に俺にぶつかった人が目を覚ました。
『ウゥ、なんだよ。飛ばされるなんて聞いてないぞ。』
人は俺から離れながらいった。
人は白いSS軍服と白い帽子を着ていた。
顔は俺によく似ていた。
『ヘルマンッ!』
オスヴァルトが驚きの声で俺の名前を呼んだ。
いや、この場合は相手のことを呼んだに違いなかった。鏡から出てきた人は体格、顔、全てが瓜二つだった。
『てめぇがこの世界の俺か?女みてぇな面してんな。』
目の前の俺が妖しい笑みを浮かべながらいった。
『あの、すいません。その顔の傷はなんですか?』
ルドルフがいきなり話をきりだした。確かに顔には線状の傷があった。
あの世界のヘルマン、裏ヘルマンがルドルフに向かって言った。
『あぁ?この傷はな、ナイフでやられたんだよ。寝込みにな。ちなみに刺した野郎はすぐにマシンガンで蜂の巣にしてやった。』
ルドルフは少し怯えたように見えた。さも愉快そうに言う姿に怯えたらしい。流石の俺も少し恐怖を覚えた。
『ちょっとてめぇ、面貸せ』
裏ヘルマンはそう言うと俺にキスをした。顔に似合わぬ優しいキスだった。しかし、優しいキスともう一つ恐ろしい香りがした。
血の匂い!
裏ヘルマンの口の中からかすかに血の匂いがした。
『おまえ、結構甘い口してんな。俺の性奴隷にしてもいいぞ』
妖笑を浮かべながら言う裏ヘルマンの顔はとても怖くいまにも俺を殺しそうだった。
次章へ続く