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【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】

第1章 .


爆豪は動かなかった。避けようとも、反撃しようともしなかった。ただ雨に打たれたまま、ぼんやりと男を見つめている。けれど、骨壷を抱える腕だけは、無意識のうちに強く、強く守り抜いていた。

骨壷を庇うようにして敵に向けたその背中に、鋭い刃が深く、深く食い込む。

――痛い。熱い。

切り裂かれた背中から、どっと血が溢れて止まらなくなる。

(アイツも……、こんな風に、痛かったんかな)

骨壷を抱えたまま、地面にしなだれ落ちる。雨によって地面に広がっていく己の血を、どこか他人事のように眺めながら、急速に下がっていく体温を感じていた。

倒れた爆豪を見下ろし、強盗が舌打ちをする。

バンに乗っているもう一人が声を上げた。
「オイ、ガキ一人構ってる暇はねえ。行くぞ!」

黒いバンが爆音でエンジンを吹かし、タイヤが激しい水飛沫を上げながら走り去っていった。

警報が鳴り響く中、街路に残されたのは、血溜まりの中に横たわる少年と、止む気配のない冷たい雨だけだった。

傷口から流れ出る真っ赤な血は雨水と混ざり合い、薄紅色の筋となって排水口へ吸い込まれていく。背中の傷はあまりにも深く、肋骨の隙間を潜って内臓まで達していた。呼吸をするたびに、ごぽりと血の泡が喉の奥で弾ける。

爆豪は仰向けのまま、どんよりとした灰色の空を見上げていた。冷たい雨粒が顔に当たるたび、眠るようにゆっくりと目を閉じかける。

(あの世とか……あんのかな)

腕から滑り落ちそうになった骨壷を、最後の力を振り絞って抱き直した。

(会えんのかよ。もし、あるなら……)

口の端が、わずかに持ち上がる。血で赤く汚れた唇が、誰にも届かない言葉の形を作った。

意識が完全に途絶えるその瞬間、どこか遠くで、夜の始まりを告げるかのような鐘の音が、静かに響き渡った。
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