第17章 お風呂編
「ルドガー……後ろ姿も恰好いいね」
「そうか? 乗ってるお前が見えないのは残念だな」
「ふふ。誰か乗せたことあるの?」
「あるわけがない」
一瞬失礼なことを聞いたかと思ったが、彼は笑い交じりに即答した。
自分が初めてなんだ。
そのこともやたらと嬉しくなった。
感慨深いのもつかの間、彼は数歩だけ歩き、浴槽に足を踏み入れる。
そして、ゆっくりな動作にも関わらず、湯が一気に外に押し流された。
「わああああすごいよ~っ」
まるでこういう遊戯のようにあなたは迫力ある風呂の入り方を楽しむ。
彼が落ち着いて腰を下ろした頃には、湯も半分ほどになっていた。
だが彼の胸元、あなたの肩までちゃんと浸かっていてちょうどいい。
あなたはルドガーの顔の横に座り、上にまとめた髪をまた整えて、ほっと熱い息を吐いた。
「はあ~気持ちいいねえ。このお湯最高じゃない?」
「ほんとだな。熱すぎず、ぬるくもない。ちょうどいい人肌だ。あいつ、結構やるな」
彼も素直に褒めていたため、あなたは笑った。
本当に温泉に来たみたいな景色と居心地だ。
「ありがとう、ルドガー。こんな贈り物、ほんとうに嬉しいよ」
「お前のアイディアだ。俺もありがとうな、。お前とこの姿で入るのが、こんなに楽しいと知らなかった」
そう言われて、頬を染めたあなたは、彼の頬にちゅっと口づけをする。
そして瞳を見つめて微笑むと、ルドガーも柔らかな表情であなたの頬にそっと鼻先をこすりつけた。
二人の幸せな時間って、まだあるんだなぁ。
もうすべて見つけたような気がしていたが、ルドガーと過ごすたびに、いろんな発見をするみたいだ。
「なあ。そろそろ戻ってもいいよな。お前がのぼせてしまう」
「えっ?」
そう言って、獣としてのお風呂を満喫したルドガーは、突如褐色肌の男の姿に変貌した。