第12章 赤兎編
赤兎をセロに預けてから、数日が経った。
今日はルドガーが朝から任務で不在だ。
なので尋問室へはミザロと同行した。
今や師というだけでなく、上司の立場である彼に経過を見てもらうのだ。
灰壁に囲われた空間で、灰色の上下服を着たセロは、いつも通りベッドで肘をついて寝転がっていた。
だがあなた達が現れると、飛び起きてすぐに姿勢を正す。
「おお〜魔術師長のミザロさんじゃないですか! どうぞどうぞ、汚いところですが。、お茶をお出ししてくれ」
「あっはい。わかりました」
なぜか捕虜のセロに言われるがまま、テーブルに3つの紅茶を用意する。
実力も境遇も異なる魔術師3人が向き合った。
赤兎を膝においてのほほんと佇む捕虜に、ミザロは不審顔だ。
「……あなた、自分の立場分かってます? 我々はあなたの尋問官ですよ。茶飲み友達じゃありません」
「まあそんなツンケンせずに。もうすぐ仲間になるんじゃないですか、俺達」
テーブルに手を出し、したり顔で言うもミザロの表情には冷たい壁がある。
「師匠、セロさんは親しみやすい方なんですよ。仲間といえば、そういえばセロさんのお仲間は今何をしてるんですかね。きっと心配してると思いますけど」
彼とは距離が近づいた気がしているが、この特別任務の目的もあなたは忘れていなかった。
そろそろ核心に触れていかなければ。
「仲間ぁ? そんなやついたっけ。別にいいんだよ、俺はここでのんびりやってんだからさ。それより、こっちに寝返っても俺の待遇よくしてくれるんだろ?」
セロは焦りを浮かべて尋ねる。自分の進退に必死の様子だ。
「待遇ですか。あなたがこちらの条件を飲めば考えますよ。守護者の情報を渡しなさい」
「……だからあ、それは俺の命が危険すぎるんだよ。何度言ったら分かってくれるんだ」
「あなたの命はお仲間ともども守りますよ。一度仲間になればね。……それよりも、当初の目的はいいんですか? あなた方はさんを守護者に会わせたかったんでしょう」
ミザロが初っ端からずばずばと切り込んでいく。
その手腕にあなたは自分にはない貫禄と圧を感じた。
しかしセロは深いため息を吐いた。