• テキストサイズ

約束の未来へ【御幸一也】長編

第8章 【最終章】未来の先、変わらないもの


夢主side

——あれから数ヶ月。

部活を引退した私達は
残りの学校生活を、ただ教室の中だけで共有していた。

そんなある日。

「御幸、ちょっといいか」

休み時間に
監督——いや、片岡先生が一也を呼んだ。

「はい」

短く返事をして席を立つ一也。
その背中を見守っていると倉持くんが声をかけてきた。

「進路の話か?」
「かもね。スカウトも来てたみたいだし」

そう言うと、倉持くんは少しだけ眉をひそめた。

「お前はどうすんだよ」
「ん?何が?」
「何がって……進路だよ。御幸について行くんか?」

真剣そうな顔をする倉持くん。

その問いに思わず笑ってしまった。

「っぷ……はは、ないない」

私は軽く手を横に振った。

「どこ行くかも分かんない人に合わせて動けるほど、余裕ないし、それに私にだってやりたい事あるから」

そう言って私は目の前の進路希望調査書に視線を落とした。

つられて倉持くんも覗き込む。

次の瞬間、目を丸くする。

「お前、そこって……」

そう言いかけた瞬間、予鈴が鳴った。
言葉を飲み込むようにして、倉持くんは席へ戻っていった。

——放課後。

「わりぃ、この後また監督のところ顔出さなきゃなんねぇから、ちょっとだけ待っててもらえるか?」
「私も担任の先生に進路の話あるから、大丈夫だよ」
「そうか、じゃあ先終わったら校門で待っててくれ」
「うん」

そう言って一也は教室を後にした。

私も荷物をまとめて職員室へ向かった。
その瞬間

「なぁ、さっきの……」

倉持くんが、いつになく緊張した面持ちで声をかけてきた。

「もしかして、見ちゃった?」
「わりぃ。勝手に見るつもりなかったんだけどよ……」
「いいのいいの。いつかは分かることだし」

倉持くんに見られたのは、私の第一志望の大学だった。

絶対にそこじゃなきゃいけないわけじゃない。
けど、選べるのなら……

「いや、でもお前、その大学は……」
「……分かってるよ」

倉持くんの言葉に重ねるように返した。

「けど、目指すなら高い目標の方が燃えるでしょ?」

私がそう言うと、倉持くんは呆れたように小さくため息をついた。

/ 94ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp