第2章 【第1章】進まない秒針
夢主side
3年生になった私達は、再び同じクラスだった。
教室の空気も、
去年より少しだけ落ち着いて見えた。
「おはよう、2人とも」
「よぉ」
「おー、!久しぶりだな」
相変わらず倉持くんと一緒にいる一也。
「どうだったんだよ、稲実や市大の新人は?」
「やっぱ流石名門って感じ、粒ぞろい。そっちは?」
「面白い後輩ばっかりだぞ、こいつに至っては初日から同室のやつに睨まれてやんの」
「え、何したの一也……」
「なんも?」
その反応に少し頭を抱えるふりをする。
「ほんとにこれがキャプテンでいいんだろうか……」
「おいおい、今更だろ」
「もう手遅れだったわ……」
「本人目の前で失礼にも程ありすぎるだろ、お前ら」
そう言って私達は笑いあった。
「けどまぁ、早く会いたいなー」
「会えんだろ、今日」
私のつぶやきに一也が即答する。
「そうなんだけど、そうじゃなくて!」
そんな話をしていたらチャイムが鳴った。
ソワソワした気持ちを抑えられず、
気がつけば、午後の部活の時間になっていた。
昨日まで行っていた偵察のノートを監督に見せてから、
新しいマネージャーの子達に挨拶する。
「昨日まで部活留守にしてて挨拶しそびれちゃってごめんね」
「いえいえ!先輩の事は、吉川先輩達からお話はきいていました!」
「ドリンクの事とかは私より他の子の方が詳しいけど、スコアブックの事とか野球のルールの事とかなら教えてるから、いつでも聞いてね!」
「ありがとうございます!!」
「じゃあ、よろしくね!」
私はそう言って、グラウンドに向かった。
奥村side
寮に入ってから、時折耳にする名前がある。
……先輩。
あの人だという確証はない。
ただ名前が同じ別人の可能性もある。
なのに、どこか期待する自分がいる。
そんなことを考えながらランニングをする。
「1年、ちょっと集合」
キャプテンのその呼びかけに駆け足で向かう。
そこに居たのは、忘れるはずもない人だった。