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約束の未来へ【御幸一也】長編

第4章 【第3章】譲れない場所


「なーにしてんの」

俺の声には一瞬だけ視線をあげる。

「通して、ちょっと行かないと……」
「ダメだよ。」

横からすり抜けようとするの腕を掴んで制止する。

「これは、エースなら乗り越えるべきモノだ」

その言葉には肩を揺らした。

「そっちの監督も期待してるから変えないんじゃないの?」

少しだけの肩の力が抜けた。
俺は掴んでいた腕をゆっくり離した。

「……わかってる……けど……!」
「わかってるなら、なんでそんな顔してんだよ」

心配とか、そんな度を越してる。

マネージャーとしてじゃない。
キャッチャーとして崩れかけてるピッチャーのそばに居られないのが悔しい。

そんな顔をしていた。

青道の監督たちがを決してベンチに入れない理由
何となくわかる。

キャッチャーとしての衝動が大きすぎるから。

はそれを自覚してる。
だけど、理屈とか関係ない。

これは本能だ。

俯いたまま、拳に力の入っているに

「なんで、女子の野球部ないんだろうね」
俺はそう言う事しか出来なかった。

は無言のままゆっくりと席に戻った。

終盤、
青道は逆転されるも、降谷に代わり沢村がマウンドにあがって何とか抑えた。

しかし――天久を打ち崩す事は出来なかった。

ベンチを空ける青道と入れ替わりで入る。

すれ違う一也に一瞬視線を送る。

直接的な言葉は要らない。
ただ――

「こんな風に負けるなら……
の隣に立つなんて許さない」


御幸side

ベンチですれ違った鳴の視線が痛かった。

……あー、めんどくせぇ。

ただでさえ、降谷を立て直す事が出来なかった自分への腹立たしさと、
天久を打ち崩す事が出来なかった無力感でいっぱいだってのに……

「奥村に鳴に……どんだけ敵多いんだよ俺」

……それだけで終わらなかった。

寮に戻ると監督から告げられた言葉で
全員に衝撃が走った。

――「背番号を白紙にする」

夏に向けて、
俺たちは再び走り始めた。
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