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約束の未来へ【御幸一也】長編

第3章 【第2章】受け止めるということ


御幸side

聞き耳を立ててるつもりはない。

ただ、いつも通りを待ってる。
それだけ。

なのに……

分厚い扉に隔たれて、
要所要所しか聞こえない会話にもどかしさすら覚えていた。

……をこんなに遠く感じるのは初めてだった。

けれど
「俺にも背負わせてくれませんか」

その言葉は何故かハッキリと聞こえた。

胸の奥がザワつく。

嫉妬とも違うその感情は
なんとも形容しがたいものだった。

――コンコン

気がつくと、俺はドアをノックしていた。

「はーい」

中からの声がした。

「……そろそろ帰るか?まだやる事あるなら待っとくけど」

何も知らないふりをして声をかける。

自分でも驚くほど
いつも通りの声だった。

夢主side

……どこまで聞こえてたんだろ。

いつも通りの一也の声が
今の私にはどこか苦しかった。

けど、
答えは決まった。

「ごめん。終わったら声かける」

私がそう言うと、
少し間があってから、一也の返事があった。

「……なら、室内練習場で」
「うん」

扉越しに遠ざかっていく足音を聞きながら、
私は小さく息を吐いた。

そして、目の前で私の返事を待つ
光舟くんに目線を向ける。

「光舟くん……ありがとね」

……まずは一也と話す。

「私も、ここに来てからあの頃とは変わったの」

私の言葉に光舟くんの目が少し揺れた。

「不器用だけど、私の隣を歩いてくれる人がいるんだ」

「……そうですか」

そう言って光舟くんは目線を逸らした。

その声は少しだけ寂しそうで、
でもどこか安心したようにも聞こえた。

「……そういえば、入寮初日から一也睨んだのって光舟くん?」

唐突の話題変更に光舟くんは驚いた顔をする

「……まぁ、はい」

少し後ろめたそうな声で答えた。

その姿は少し懐かしかった。

「もっとやっちゃえ」

その言葉と一緒に少し笑みが零れた。

「一也から学べる事、沢山あると思う」

「越えるべき目標としては十分すぎる相手だよ」

青道に来て一年。
あの時の事を一人で乗り越えるなんてきっとできない。

けど、ここにいると――

少しだけあの頃の自分に戻れた気がする。

楽しかったあの頃に。


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