• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い


医務室は静かだった。

消毒液の匂いと、白いカーテン。
戦闘後特有の張り詰めた空気が漂っている。


包帯を解かれた瞬間、医療班の女性が顔をしかめた。

「新しい裂傷自体は浅いですが、以前の傷が開きかけています。こちらは思ったより深刻ですね……無茶しました?」

「少しだけ」
「少しで済む傷じゃありません」

呆れた声に、私は苦笑する。


傷口へ薬が塗られる。
じわりと熱い。

けれど、それ以上に胸の奥の方が落ち着かなかった。


ラビに抱き寄せられた時の熱。
汽車の中で絡められた指。

アレンの真っ直ぐ過ぎる眼差し。

思い出すたび、呼吸が浅くなる。


「ティファ?」

不意に、柔らかな声がした。
振り返ると、リナリーが心配そうにこちらを見ている。

「大丈夫?」
「……ええ」


返事をしたつもりだった。

けれど、リナリーは少しだけ眉を下げる。


「大丈夫って顔じゃないよ」

その声に、張っていた気持ちが少しだけ緩んだ。


私は小さく息を吐く。

「……少し、疲れただけ」

「本当に?」
「本当よ」


そう言うと、リナリーはじっと私の顔を見つめた。

そして、ふっと小さく笑う。


「ティファって、すぐそう言うんだから」

少し拗ねたような口調に、私は思わず笑ってしまった。

/ 1153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp