第1章 キミへ
キド『名前が……ない……?』
「……はい。私はどこで生まれたかもわからない。自分が誰かもわからないんです。」
私は少し目を伏せて言った。
しばらく沈黙が続いた。
本当はほんの一瞬なんだろうけど、私にはやけに長く感じられた。
「……痛い……!」
キド『どうした!!!?』
「目……が……!」
燃えるように痛い……!またこんな時にっっ!
キド『おい、少し見せて見ろ……!!
…………やっぱりな!!』
「……!!!?」
痛みが引いていく。
数分後、さっきの痛みは嘘のように無くなっていた。
キド『お前、この後時間あるか?』
「そ、それは大丈夫ですけど……。」
キド『なら、少しついてきてもらうぞ。』
そういい放つとキドさんは私の手を引っ張った。