第2章 勘違い
ほんの短い時間。
けれど胸がいっぱいになるには十分だった。
やがて七海はゆっくりと身体を離す。
名残惜しさを感じながら顔を上げると、至近距離で視線がぶつかった。
思わず息を呑む。
互いの瞳に映る距離。
静かな空気。
そのまま時間が止まったようだった。
けれど。
七海はふっと目を細めると、彼女の額へそっと唇を落とした。
触れるだけの優しいキス。
「七海くん……?」
呼び掛けると、七海は小さく苦笑した。
「…すみません」
そう言ってネクタイへ軽く手を添える。
「このままだと、止まれなくなりそうなので」
穏やかな声だった。
けれど、その言葉とは裏腹に。
向けられた笑みはひどく色っぽくて。
何も返せなくなったまま、ただ頬の熱が増していくのを感じていた。
「…さん。」
「!」
突然の名前呼びに、心臓がギュッと反応する。
「は、、はい、、」
「おやすみなさい」
「…お、おやすみ、、なさい、、、」
こうして、恋人1日目の夜はゆっくりと幕を閉じた。