第1章 出会い
「えーっと、七海くん?ですか?」
騒がしいオフィスの中、1人の女性が私の名を呼ぶ。
「はい、本日より、お世話になります。
七海建人です。よろしくお願いします。」
「あぁっ、えっと…そんなに畏まらないで」
微笑む女性
「私は森川。」
丁寧な所作
「今日から七海くんのパートナーです」
「パートナー…」
「あ、パートナーって言うのはね!」
そういう意味じゃなくて……と
訂正をしながら組織図を引っ張り出す彼女。
「先輩後輩のことをパートナーって呼ぶんだよ」
ほら、と指を指す。
《パートナーシップ制度》
「……なるほど。」
「七海くんは、証券会社初めて?」
「はい。」
「そっか!」
「私は何から始めれば?」
「ふふっ、まずはこれ!」
彼女の引き出しから出てきた本。
割と新しいが、いくつもの付箋が飛び出している。
ん、っと森川の手から渡される。
「ありがとうございます?……これは?」
「それはね。
商社に勤めるなら知っておくべき知識が
全部つまってる、オススメの本!」
「そうですか。
では、この付箋は…?」
不思議そうに見つめる七海に対し
食い気味に補足を入れる森川
「あぁ、ごめんね!
お節介かもなんだけど…」
そう告げてペラッと本をめくり指を指す。
「わたし的に大事かなーって所とか、
分かりにくいかなーって所に付箋貼って
簡単な補足を書いてるから参考になれば嬉しいな、
っと、いう感じです」
かなり面倒見がいいというか、なんというか。
そこまで親切な教育者がいることに感動する七海。
「ありがとうございます。」
「これから、すぐ現場に出るから。
分からないことは基本的にソレをみて。
それから、時間は必ず守ること。」
柔らかい雰囲気が少しピリッと締まる。