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呼ぶ子

第1章 呼ぶ子沢のお話ーひとつめー


☆☆☆
一つ目はこんな話だった。

祖父の小さい頃だから、大正時代か。村で一番泳ぎが達者だったDという子が、仲間3人と連れ立って呼ぶ子沢に釣りに行った。呼ぶ子沢は人が寄り付かなかったから、魚もスれていなくてよく釣れる。呼ぶ子沢に近づくなときつく言われていても、悪ガキ共はそれをよく知っていたのだ。

その日も何匹も何匹も魚が釣れて、皆で喜んでいた。

仲間の一人が濡れた岩に足を滑らして、沢に落ちてしまった。ちょうどそこは深みで、溺れそうになる。Dは急いで飛び込み、落ちた子を岩に押し上げ、自分も岸に戻ろうとした。しかし、不意にざぶんと沈んでしまった。

仲間が何度もDの名を呼ぶが、Dはとうとう顔を出すことがなかった。

悪ガキ共は慌てて大人たちを呼びに行き、皆で探したが、ついにDは浮かび上がることもなく、生死もわからない。Dの母親は呼ぶ子沢でたいそう嘆き悲しんで、村の者も見るに耐えなかった。

その後、村では、Dと一緒に行った仲間たちが次々と井戸に落ちたり、川で足を取られたりと水に関係する事故で死んでいった。

ああ、Dは呼ぶ子になった、呼ぶ子が出た、と村の婆さんは祖父に言ったという。
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