第2章 ありきたりすぎる出会い
「いたっ、いたた……」
彩峰麻由佳、24歳。
S市杜王町に着いた途端、コケそうになって足を捻って痛みのあまり動けなくなる。
なんか、ツイてない。
「あー……車で来ればよかったかなぁ……」
足首をさすりながら周りを見渡すけれど、こんな時に限ってバスもタクシーも駅前にはいない。
くっそ……
大体、岸辺露伴。
あの偏屈漫画家が私になんか用があると言っておきながら、『聞きたきゃ僕の家まで来い』とかトンデモ発言をしたからこんな事になっている。
用あんなら、迎えに来てくれたっていいじゃん……
いや、露伴先生にそんな常人的思考があるなんて思えんな。
しょうがない……自力で何とかすっか……
そう思って立とうとするけれど、それを試みる度に足首に激痛が走る。
「いだっ!いたた……もぉ無理……」
立つのを諦めた、その時だった。
「あの~、大丈夫っスか?」
突然、後ろから声をかけられた。
「え?」
反射的に振り向くと、そこには1人の男の子が立っていた。
服装的に、高校生だろうか。でも不良っぽい。
ピシッと決めたリーゼントに、イケメン面。背がやたらデカい。
そんな彼は、私に手を差し伸べてくれていた。
「えと……あの……?」
「もしかして、立てねーんスか?」
「いや……その……」
素直に立てなくなってしまったと言うべきだろうか。
だけど、きっと駅にいるという事は彼も何か用事で先を急ぐかもしれない。
返答に困ってしまって私がもじもじしていると、彼は私の前にしゃがみこんだ。
「恥ずかしいかもしんねーっすけど、どうぞ」
その体勢……
まさか……
「おんぶ……?ですかぁ……?」
は、恥ずかしい!
そうは思ったけれど、今彼に頼らなかったらこの先どうなるか分からない。
「あの……すみません……おじゃま、します……」
私は、おずおずと彼の背中にしがみついた。
「よっと」
「ひゃぁっ!」
彼は、私をおんぶして普通に歩き出した。