第9章 ふたりきりで
どうしよう。どうしようどうしよう……。
パンダくんや狗巻くんに"泣かせないように頑張れ"って、応援してもらったのに……。
千景、すごい泣いてた。
今もまだ、泣いているかもしれない。
キャップを深く被って、俯いている。
フェイスタオルを口元に当てたまま、鼻を啜る音がする。
寮には入らずに、裏に向かった。
お互い黙ったままで、どうしたらいいか、わからなかった。
地面に座り、膝の上に千景を座らせる。
「憂太、汚れちゃう……」
「いいから。……落ち着くまでここにいよう?中に入ったら、誰かに会うかもしれないし……」
縋るように服を握り、身体を預けてくれる。
――もう、全部可愛い……。
髪を撫でると顔を上げてくれた。
目が赤くなり、涙の痕は残っているが、もう泣き止んでいる。
「痛かったよね。ごめん……」
「ちが、違うの……痛いのは痛かったけど……最後まで出来なかったのが……」
もし次もまたさせてくれるなら、もっとちゃんと前戯をしよう。
つける練習もしておかなきゃ……。
「痛かったからだよね。ごめん。――泣いてるのは……悔しいから?」
頷く千景の髪を撫でて引き寄せ、唇を触れさせる。
軽く触れて離れると、へらっと笑った千景に、心臓が跳ねた。