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約束の行方【御幸一也】長編

第7章 約束の結末


しかし、その沈黙だけで
二人には十分だった。

「……ッチ、アイツ……マジかよ」

倉持くんが深い舌打ちをする。

「どこだ?」

白州くんは短く問う。

「……左の横腹」

言葉にした瞬間、改めて現実味が増す。

「肉離れの可能性もあると思う……」

そこまで言うと

ドン――

倉持くんが机を叩いた。

「そこまでわかってて、なんで止めねぇんだ!」
「止めたよ!」

倉持くんの煽りに乗って私の声も一瞬大きくなる。

「けど……」

あの時の真っ直ぐな目を思い出す。

……「一緒に甲子園行くんだろ」

「……止まらなかったの」

静かに落ちた声。

部屋の空気が重たくなるのを感じた。

倉持くんは机に手をついたまま、
大きなため息を吐いた。

「あー、めんどくせぇな。あのキャプテンはよ」

怒っているようにも、呆れているようにも思えたその声。

「でも、まぁ……」

そこで言葉を切った倉持くんは白州くんと目配せをし、
小さく笑った。

「それでこそ、御幸だよな」
「あぁ、そうだな」

私は2人のその言葉に
零れそうになった涙を戻すように顔を上げる。

そして私も口を開いた。

「明日、朝一で御幸を呼び出してある」

「そこで、最低限の処置はするつもり」

倉持くんも白州くんも静かに私の言葉に耳を傾けてくれた。

「でも、痛みそのものはなくならないと思う……だから」
「プレー中見張っとけばいいってことな」

私が言い切る前に倉持くんが言葉にしてくれた。

「うん」
「もし、悪化しそうなら無理やりにでも引っ込めてやるからな」
「縄でも用意しとくか」
「それ、いいかもな!」

2人の雰囲気に
徐々に胸が軽くなる。

「……ありがとう」

小さく零した言葉。

「気にすんな」

そう言って倉持くんは片手をあげる。

白州くんも静かに頷いた。

まだ全ての不安がなくなったわけじゃない

けど――

今はチームを信じて、私にできることをやるだけ。

「……帰るか」

倉持くんの声に
私達は静かに立ち上がった。

センバツまでの切符は
もうすぐ目の前だった。
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