第7章 約束の結末
御幸side
グラウンドからチラリと見えたユキの険しい表情。
……やべぇなあの顔、多分バレてる
明確な痛みを感じたのは、九回表。
それまでは違和感程度だった。
……間に合うかどうかってところか。
「……っ」
小さく息を吐く。
――あいつが動く前に終わらせる。
ツーアウト。
相手は四番。
沢村に代わって川上がマウンドへ上がる。
「頼んだぞ」
軽く声をかけると、川上は静かに頷いた。
――三球。
ピシャリと抑えた。
ベンチへ戻る前にユキへ視線を送る。
……来るなよ
そう伝えるように。
視線に気付いたユキは、小さく頷いた。
……助かる
「この回で終わらす」
小さく頷きベンチへ戻る。
防具を外すと沢村が渡して来たドリンクを一気飲みする。
「汗、すごいですね」
降谷の言葉にほんの一瞬、言葉に詰まる。
「まぁ……少し焦ってるかもな」
軽く流す。
紙コップを捨て、メットを被る。
「そろそろ点取ってやらないと四番として
ピッチャーに申し訳ねぇからな」
――痛みは無視する
俺はバットを握り直すとグラウンドへ向かった。
夢主side
……あのバカ
私が気付いたのを見越して目配せしてきた。
……まだやるべき事がある
そんな真剣な目をした御幸を止めることは
私には出来なかった。
本当はすぐにでもベンチに走って止めたい。
……「こっちが止めようが相手の気持ちがこっちを向いてなきゃ止まらねぇんだろ」
ふと頭をよぎったのは、あの時の御幸の言葉。
そうだ。
今の御幸は誰にも止められない。
それなら――
「最後まで、ちゃんと見届けてあげる」
小さく呟いて私は打席に立つ御幸を見る。
静まり返る球場。
動く気配のないバット。
フルカウント。
……勝負をするならここ。
ピッチャーがモーションに入る。
その瞬間、御幸の手元が小さく動いた。
次の瞬間
カキン――
乾いた音とともに
打球は高くまっすぐに伸びる。
誰もが見上げる中、確信する。
――入った