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約束の行方【御幸一也】長編

第6章 約束の行方


鳴side

「今日はありがとね、久しぶりにキャッチャーとして楽しい時間過ごせたよ」
「俺も、ちょっと見直すきっかけになった。ありがとな」
「そっか、良かった。少しでも鳴の役に立てたなら……」

「って、敵に塩を送るつもりが私、砂糖送っちゃった感じ?」
そう言って笑うユキを見て、胸がざわついた。

そのざわつきは衝動に変わった。
「なぁ、ユキ」

「お前、青道辞めてうちに来いよ」

俺の言葉にユキは一瞬固まった。

「お前なら……いや、違うな。お前がいれば、俺達ももっと上に行ける。甲子園、連れてってやるよ」

俺は自分の言葉に迷いなんてなかった。


夢主side

鳴の言葉に、一瞬息が詰まった。

正直……少し揺れた。
あの球を受けたから後だからこそ。余計に。
でも――

私は首を横に振った。

「鳴、私はね、」

私はその場で立ち止まり、鳴を見上げながら言った

「誰かに連れて行って欲しいわけじゃないの、自分の足で行きたいの、青道《ここ》で」

御幸の真剣に野球に向き合ってる姿が脳裏に浮かぶ。
鳴もきっと比べ物にならないくらい野球が好きな事はキャッチボールでもよくわかったつもり。
でも――

「……御幸と一緒に。それが私達の約束だから」

そうハッキリと伝えた。

「そっか……」

鳴はそう言ってゆっくり顔を上げた。

「なら、その約束――」

一歩、距離が縮まった

「俺が上書きしてあげる」
そう言った鳴の顔は笑っているのに、目は笑っていなかった。

御幸side

聞くつもりなんてなかった。
そろそろ終わる頃だと思って勝手に迎えに来ただけのつもりだった。

でも――
偶然聞こえた声に俺は足を止めた。

「私はね、誰かに連れて行って欲しいわけじゃないの、自分の足で行きたいの、青道《ここ》で……御幸と一緒に」

何言ってんだあいつは……
心臓の音がさっきより、やけにうるさくなった気がした。

俺はこれ以上この場にいられないと思い、全然違う方向へ足を向けた。
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