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約束の行方【御幸一也】長編

第5章 約束を乱すもの


なんで御幸はあんな顔していたのだろう……

なんだか聞いちゃいけない気がした。

私は御幸の少し後ろを歩くと、
その背中を見つめる事しか出来なかった。


御幸side

ユキを送って寮に戻った俺は、
部屋に戻る気になれずバットを振っていた。

なんでこんなにモヤモヤするのか分からず、
ただひたすら空を切る音を聞いていた。

「こんな時間に素振りとか、珍しいじゃねえか」
「倉持か……別に、ちょっと振りたくなっただけだろ」

今1番関わりたくないやつが声をかけてきた。

「ふーん。新マネ絡みじゃねえの?」
「だから、なんでお前はすぐそうなるんだよ」

俺は振っていたバットを下ろした。

「お前さ、自分で首絞めてんの気づいてる?」
「……は?」

一瞬、倉持の言ってることが分からなかった。

「今日のあれ、完全に牽制だろ。取られたくねえなら、もうちょい分かりやすくしろよな」

……取られるってなんだよ

「そんなんじゃねえよ。ただの幼なじみだって……」

ただの幼なじみ――――なのか?

この違和感や鳴とのやりとりで感じた苛立ちは……

「その顔は、ただの幼なじみに対しての顔じゃねえと思うぞ」

俺は小さくため息をつく。

「……うるせ」

そう言いながら、頭の中では今日の光景が思い浮かんだ。


ユキが鳴に手を引かれそうになった時も、連絡先交換しようとしてた時も――

気が付いたら体が動いていた。

倉持の言う通りだ。
ただの幼なじみなら、あんな風に割り込む必要ない。
近すぎる距離感にイラつきを感じる事だって……

無意識にバットを握る手に力がこもる

あいつに触れられるのが、なんか嫌だったってか……
何様だよ、俺は。

「ちっ……めんどくせぇ」

俺がため息をつくと
「やっと気が付いたかよ」
と知ってたぞ感で話してくる倉持。

「……うるせぇって、早く寝ろよ」
そう吐き捨てると、バットを担ぎ俺は明日に備えて部屋に戻る。

その頭の中からは、ユキの顔が離れなかった。
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