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約束の行方【御幸一也】長編

第5章 約束を乱すもの


夢主side

鳴には申し訳ないけど、この状況なら仕方ないよな……

練習試合後のグラウンドやベンチ等の片付けをしながら、私は少しため息をついた。

日も傾きかけた頃、やっと丹波さんの状態や今後の事もまとまった。

「家まで送る」と言った御幸の言葉に甘え、
私はグラウンドを後にした。

「……なぁ、ユキ」
無言の時間に耐えられなかったのか、御幸から声かけられた

「どうしたの?」
「その……残念だったな、鳴とキャッチボールできなくて……楽しみにしてたんだろ?」
「べ、別に……仕方ない事だし――それよりも、今は夏の大会のピッチャー陣の事でしょ」

そう、仕方のない事。自分でも頭では理解してるんだ。
でも、まさか御幸からその話してくるとは思ってなくて、少し驚いた。
私はその話題から逃げるかのように別の話題を振った。

「そうだけど――」
「ユキ!!」

御幸がなにか言いかけた時に、後ろから名前を呼ばれ振り向くと、鳴がいた。

「え、鳴!?帰ったんじゃなかったの?っていうか稲実も寮生活でしょ?大丈夫…」
「そんなのどうでもいいんだよ!」

鳴はそう私の話を遮ると、

「それよりも!今日の約束、俺はやっぱり諦められねえ…だから!連絡先教えて!」
「えっ!?」

鳴の勢いに戸惑い、私はふと御幸に視線を送る。
御幸は何故か不機嫌そうに視線を逸らした。

え……なんで?

御幸に声をかけようと足を踏み出すと、

「ねぇ!早く!」

と鳴に急かされる。

「わ、分かった……」

そう言って私がスマホを取り出そうとした時、

「――ちょっと待てよ」

いつもより低い声でそう言った御幸。

「いくらなんでも、目の前で敵チームに情報交換許せるほど余裕あるチームじゃないんだわ」
「はぁ?連絡先交換のどこが――」
「つーことで、俺からお前に連絡してやるよ」

さっきまでの不機嫌を隠すような笑顔で
御幸は鳴にそう言った。

鳴も御幸の圧に何も言えなくなったのか、

「わぁったよ、その代わり絶対だからな!」
そう言って帰っていった。

私たちの間に少しの沈黙が流れた。

「俺達もさっさと帰るぞ」
「……うん」

そう答えると御幸は無言のまま少し前を歩き出した。
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