第4章 約束のその先で
御幸side
「新マネ可愛くね?」「彼氏いるのかな?」
そんな事を話してる部員たちの話が妙に耳についた。
俺はモヤモヤした気持ちを隠すようにサクッと着替えて教室へ向かった。
そして、そのまま気がついたら放課後になっていた。
「……みゆき、…おい!御幸ってば!」
ぼーっと着替えていたら倉持が呼んでいた。
「大丈夫か?朝練の後からなんかおかしくね?」
「別に、んな事ねえよ」
「どーせ、転校生の事だろ」
「違えよ!つーかなんでここであいつが出てくんだよ」
図星をついてきた倉持にとっさに否定した。
「お前な、お前自身が思ってるより分かりやすいぞ」
「何がだよ」
「どうしたのー?2人とも」
軽い声で話に入ってきたのは小湊涼介先輩だった。
「なんでもないです」と口を開こうとしたら、
倉持の声が先に先輩に届いた。
「御幸のやつが新マネの事気になってんすよ」
「へぇ」
「ち、違いますって。ただ昔馴染みだっただけで……」
そうだ。俺達はただの昔馴染み。
「なら俺、新マネに声かけて来ようかな」
「は?」
一瞬で声のトーンが落ちたのが自分でも分かった。
「亮さん、それは……」と倉持が発しかけた時に、
亮さんが小さく笑った。
「なんでそこでムキになるんだよ。
新マネの事でお前がそんな顔する理由は?」
「……」
何も言い返せなかった。
……なんで俺、こんなムキに――
亮さんに言われて初めて、
自分があそこまでムキになっていたことに気づいた。
「なんでもいいけど仲良くしなよ。夏まで時間ないし」
「……はい」
そう答えると俺はグラウンドに向かった。
亮さんの言う通りだ。
今は目の前の野球に集中しないと。
もうすぐアイツとの練習試合もある。
約束のための決意
それを揺るがす存在がすぐそばに来てるとも知らずに――