第7章 出生
「生まれてくるところが違ったらーーううん、生まれてこなかったらこんな思いしなくて済んだのにな、って思うことが偶にあって。それが誕生日になると強くなっちゃう」
「……手前の異能はその実験によるものか?」
「え…?いや、違うよ」
突然、低い声で聞かれて驚くアリス。
「『ワンダーランド』は元々あったもの……だけど、私が異能を理解したのは実験の中で」
「そうか…」
「中也兄?」
中也が少し安心したような声で云った。
「それで、今日が嫌いなのか」
「うん。何でかな…幸せそうな人達を見てやっかんでるだけなのかな…」
アリスは暗い表情で考え出す。
中也は、そんなアリスの話を聞いて、出会って早々に気になった理由が、納得している事があった。
ーーー似ていたのだ。自身と。
「過去を嘆いたって仕方ねェだろ」
「っ、判ってるもん。判ってるけど……」
「売られたのは何時だ?」
「え?6歳の誕生日だけど…」
「試験管だ」
「え?」
昼夜の言葉に疑問符を浮かべるアリス。
「その頃は試験管の中に居た」
「!?」
「俺はーーー」
暫くの間、中也の出生の話を黙って聞いた。
「……そっか。中也兄も」
「手前は親の事を覚えているだけまだマシだろ」
「もう殺しちゃったけどね。また繰り返す心算だったから」
「まじかよ…行動力あるじゃねえか」
ワシャワシャと頭を撫でてやる中也。大人しくされるがままのアリス。
「でもその経験があるお陰で今の手前があるんだろ?」
「そうだけど……」
「少なくとも俺は助かってるぜ?行き詰まったら助けてくれる手前の存在に」
「……中也兄って人誑しだよね」
「なんだそりゃ」
「自覚ないの?」
「ねえよ、そんなの」
ケッ、と中也が悪態つくとアリスは小さく笑った。
「お腹すいた中也兄」
「お、前向きな言葉が出るようになッたじゃねえか」
「何か、私だけって思ってたけど、世間ってもっと広いんだね」
「まあ、そうだなァ」
「中也兄の話聞いたら…、同じ人が居るんだなって聞いたら一寸……安心したのかも」
その言葉に中也も小さく笑う。
「何喰いてえの」
「うーんとね、パスタがいいなー」
「パスタな」
2人は、目的地を定めて向かうのであったーーー。