第6章 門出
「それで?」
「うん?」
突然話を戻す太宰にアリスは首を傾げる。
「此処に来た目的だよ」
「嗚呼、そうだったね。目的は3つ」
アリスは指を3つだけ立てて云う。
「敵情視察にきたんだよ。そろそろ大規模な戦争が始まるからね。私、情報屋だし知っておきたいなーと思って」
「アリスも動くのかい?」
「疲れそうだしお断りしたいけど未だ判んないよ。動けって云われたらどうしようかなーって考えている程度」
「好戦的ではないものね、アリスは」
太宰の言葉にコクコクと同意するアリス。
「もう1つは虎のお兄ちゃんを連れて帰ろうと思ったんだよ。あっくんも派手にやられちゃったみたいだしね」
「…辞めるのかい?」
「よく考えなくても頼まれてないしね?」
「ぷっ。アリスらしい」
吹き出して笑う太宰。
「それで、3つ目は?」
「ああ、そうだった!」
アリスは背負っていたリュックから1つのレジ袋を引っ張り出した。
そのレジ袋は沢山モノが詰まっているのかパンパンに膨らんでいる。
恐らく、リュックにはこれしか入っていなかったのだろう。
「はい。これ」
「うん?有難う?」
素直に受け取る太宰。
「虎のお兄ちゃんの情報と、それがお祝いだよ治兄」
「!」
じゃあね、と云ってアリスは去っていった。
「……。」
太宰は袋の中のものを1つ取り出した。
高級カニ缶ーーー。
太宰は再び吹き出して笑うのであった。
ーーー
「にしても、中也がわざわざお迎えなんて」
「部下が真っ青で帰ってきたから、どんだけ怒ってるか見に来たんだよ」
「あはは。一寸遣り過ぎたかな?」
「……太宰の野郎を庇ったらしいな?」
「私が庇ったのは虎のお兄ちゃんの方だったんだけど。たまたま治兄が隣りに居ただけで」
「チッ。言い訳が上手いな」
乱暴に頭を撫でる中也。
「もう!すぐ乱暴する!」
「何なら今すぐ押し倒してもいいンだぜ?」
「いっぱい撫でていいよ!」
ケッと云い、運転する中也。
「まあ、家に帰ったら覚悟はしてろ。黙って会わせてやったンだから」
「……御手柔らかにお願いします」
「約束は出来ねェな」
クツクツと笑う中也を見て、明日は一日動けないだろうなと覚悟するアリスだった。