第8章 約束の日
夜になってポートマフィアの本部へ向かうアリスと中也。
首領主催のクリスマスパーティが開催されるからだ。
中也が仕事の確認で少し呼ばれてしまい、一人で居たところにアリスを呼ぶ声が掛かった。
「アリスや」
「あ、紅葉姐!」
呼んだ人物に近寄るアリス。
紅葉の後ろには先日、アリスに嫌見事を吐いた4人が控えていたが、アリスは全く気にしていないようだった。
「お洋服有難う!」
「善い。似合っておるぞ」
「本当?善かった。初めて着る色合いだよ」
「一気に大人っぽくなったのう」
「本当!?」
服のせいだけじゃなさそうじゃが、と心の中で続きを唱えつつも嬉しそうに云う紅葉。
後ろに控えている4人はどこか暗い表情をしている。
昨日まで無かったものがアリスの指に在ることに気付いたのだ。こんな子供がとか、相手は誰だ、等と聞くに聞けない状況。
「そのネックレスも似合うとる」
「本当に?大人っぽすぎて似合ってなかったらどうしようかと思ってたけど……紅葉姐にそう云ってもらえて嬉しい」
「其方が思っている以上にお主は大人じゃぞ」
「そうかなー?そうだと嬉しい」
そう云って笑っていると中也が戻ってきた。
「姐さん」
「中也か。贈り物の御使い有難うよ」
「いえ」
「もう終わったの?」
「ああ。昨日の顛末の確認だけだからな」
そう云って、アリスを引き寄せる中也。
4人の顔が歪んだ。
「お主も大変になるじゃろうて」
「そうなんですよ。本人に自覚がないから1から仕込まねえとなんねえ」
「ほほほ。程々にな」
「努力します」
「?」
2人の会話に混ざれずにキョトンとするアリス。
「じゃあ、また後でのう」
「はい」
「またね〜紅葉姐ー」
手を振るアリス。
その後ろを着いていく4人。
「姐さんのとこの新人か。えらくお前のこと見てたな」
「……指輪かな、多分」
「指輪ァ?」
「私、あの人達より若いから気になったんじゃないかな?」
「そういうもんなのか?」
「多分、そういうものなんだと思うよ」
女は分かんねえな、と呟く中也に、アリスは苦笑しつつ手を握った。
「行こう、中也」
「……そうだな」
こうして2人もパーティ会場へと移動していくのであった。