【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第22章 オーマン×凶兆×夏油
「なるほど。」
「行く当てがなければ、また連絡ください。」
夏油は小さく笑った。
「ああ。」
「助かるよ。」
しばらく沈黙が流れる。
やがて夏油が立ち上がった。
「空港まで送ろうか?」
その問いには首を横に振る。
「いえ。」
少しだけ微笑む。
「ちょっと立ち寄りたいところもあるので。」
その言葉に夏油は納得したように頷いた。
「そうか。」
静かな返事。
そして――。
「。」
不意に呼ばれた。
は目を瞬かせる。
「え?」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
今までずっと名前を呼ばれた記憶がなかったから。
「……?」
不思議そうな顔をする主人公の前へ、夏油がゆっくり歩み寄る。
「夏油さん?」
問い掛ける間もなかった。
そっと伸ばされた手が髪に触れる。
そして。
柔らかく。
優しく。
額へ唇が触れた。
ほんの一瞬。
だが確かに感じる温もり。
「なっ、、」
夏油は少しだけ目を細めた。
「行ってらっしゃい。」
穏やかな声だった。
「気を付けて行くんだよ。」
「わ、わかってますよ……。」
ようやくそれだけ返す。
夏油はどこか満足そうに微笑んだ。
「……では。」
「うん。」
「また。」
「また。」
短い別れの挨拶。
振り返ることなくホテルを後にした。
キプロスの青い空が広がっている。
その先にあるのは日本。
そして、大切な人たちが待つ場所だった。