【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第10章 original
やがて、山中にひっそりと建てられた古い屋敷の前へ降り立く。
木々に囲まれたそこは、まるで外界から切り離された隠れ家のようだった。
夏油「──着いたよ」
静かに告げる。
蘆屋は小さく頷いたものの、屋敷を見上げた瞬間、
喉がひどく締めつけられた。
あの扉の向こうに
自分と同じ生き残った者。
ハヤミ・ヒナタが待っている。
いざ、目の前に立つと足がすくむ。
夏油はそんな様子に気づいたのか、わずかに目を細めた。
夏油「……大丈夫かい?」
何か声をかけようとして、そっと玄関へ手を伸ばす。
けれど、扉へ触れるより早く──
ガラリ、と。
内側から静かに扉が開いた。
暖かな灯りが、夜の闇へ細く漏れ出す。
そこに立っていた青年は、一瞬だけ目を見開き、
そして、ひどく柔らかな表情で笑った。
ハヤミ「……ひさしぶり、」
ハヤミの声は、驚くほど優しかった。
張り詰めていた糸が、ぷつりと切れた。
「あ……」
膝から力が抜ける。
視界が揺れ、倒れ込みそうになった身体を、
すぐ隣にいた夏油がそっと抱き寄せた。
夏油「おっと……」
肩を支え、そのまま軽く引き寄せる。
夏油は小さくため息をつきながら、
呆れ半分の声音で口を開いた。
夏油「こら、ハヤミ。驚かせたらダメだろう。
まったく……順番ってものが──」
ハヤミ「ごめん、夏油さん」
最後まで言い切る前に、ハヤミが苦笑混じりに遮る。
そして、まっすぐ蘆屋を見つめた。
ハヤミ「でも、一番会いたかった人なんだ」
そう言って、優しく笑いかける。
その目は、昔と何も変わっていなかった。
灰金色の髪は無造作に跳ねていて、背も高い。
鍛えられた肩や腕・・・
(・・・・・あの、ハヤミくん・・・)
ハヤミ「……とりあえず、立ち話もなんだ。中、入って」
ハヤミが少し身体をずらし、二人を屋敷の中へ招き入れる。
木造の廊下には、どこか懐かしい香木の匂いが漂っていた。
蘆屋はまだ少し力の入らない足で奥へ進む。
やがて居間へ通されると、ハヤミが「適当に座って」と言いながら湯呑みを並べ始めた。