第7章 好きの謝罪
私の身体を抱えて、ゆっくり引き抜いていく。
ずっと痛くて噛んでいた下唇から、温かい液体が零れた。
握っていた拳を開くと、手の平に爪の痕があり、ヒリヒリと痛む。
こんなに怖いと震えていたのに、宗四郎様に触れられるのが嬉しかった。
「ごめんなさいっ、ごめんなさい……隠していてごめんなさい……解消のことは、本当に嘘をついていません。ちゃんと確かめもせず、解消されたって言ってごめんなさい……」
どうしたら許してもらえる?
どうしたらまた、あんな風に優しく触れてもらえる?
「ごめんなさい、好きなんです……小さい頃からずっと……ごめんなさい。好きになって、ごめんなさい……許してください……」
宗四郎様に背を向けたまま、ソファに倒れる。
腰に何かが掛かって、柔らかくて温かかった。
宗四郎様がソファから降りた気配がして、そっと髪を撫でられる。
私の話を聞いて。
許して。
もう"好き"を押し付けたりしないから……。
優しく名前を呼ばれて顔を上げると、微かに触れる唇。
宗四郎様の唇も震えていた。
「紫音、ほんまにごめん。紫音は解消されたって聞いたんやな?」
コクッと頷くと、そっと頭を胸に引き寄せられた。
「いっぱい謝らせてごめん。好きになったことまで、謝らせてごめん。紫音が僕のこと好き言うてくれるの、嬉しいで。ほんまにありがとう」
髪にキスをして、何度も撫でてくれた。
聞こえてくる鼓動はいつもよりも速い。
けれど、聞こえるところに私を置いてくれるのが嬉しくて、安心していた。