第15章 冬島
白い霧の奥。
人影の輪郭が、ゆっくり浮かび上がる。
顔はまだ見えない。
でも“目”だけがこちらを向いた気がした。
その瞬間。
頭の奥に、鈍いノイズみたいな感覚が走る。
ウソップが顔をしかめる。
「っ……!」
チョッパーも耳を押さえる。
「なんか変だ……!」
住民たちが、同時に小さく口を開く。
「みつけた」
全員同じ声。
同じ温度。
空気が凍りつく。
サンジが舌打ちする。
「気色悪ぃ……」
そう言いながら、みかの前へ半歩出る。
ローの声が低く落ちる。
「耳塞げ」
雪の奥の人影が、ゆっくり手を上げた。
同時に。
町中の住民たちが、一斉にこちらへ歩き出す。
ウソップが叫ぶ。
「うわぁぁぁ来たァ!!」
ルフィは逆に笑った。
「やっと動いたな!」
サンジが怒鳴る。
「喜んでる場合か!!」
雪を踏む音はしない。
なのに距離だけが一気に縮まる。
ローが静かに刀を抜く。
白い息が細く漏れた。
「……来るぞ、本体が」